よくわからないけど、退職願の退職理由は「一身上の都合」って書いておけばいいのかな?
「一身上の都合」って自分の都合で辞める時を言うんだけど、それで大丈夫かな?
「一身上の都合」って自分の都合で辞める時を言うんだけど、それで大丈夫かな?
うん、それは自分の都合だから、「一身上の都合」で問題ないね。
もし、アナタがこれから辞めようと思っているとすると、どのような理由で辞めますか。
- 職場の人間関係
- 自分に合わない
- お給料が安い など
退職するときは、退職願や退職届に退職の理由を記入する必要があります。退職理由で最もよく使われる「一身上の都合」ですが、なんでも「一身上の都合」としてしまう方がいます。本当に、個人の都合であればよいのですが、自分の都合以外で退職を決意したときは失業給付を受ける時に、損をしてしまう可能性があります。
つまり、自己都合で辞めたら失業給付で損をしてしまうということです。
この記事では、人事部の私が、よくある退職理由「一身上の都合」について損をしない「一身上の都合」の使い方について解説します。
この記事を読むと、損をしない退職理由についてざっくり理解していただけます。
それでは早速見ていきましょう。
「一身上の都合」がダメな理由
なぜ「一身上の都合」と書かないほうがいいのでしょうか。
失業給付をすぐもらえない
退職したあとにハローワークで「求職の申込み」をすると、ハローワークで失業の認定を受ければ給付金をもらうことができます。この給付金は、再就職にむけて就職活動をした日数分の給付金を受けとることができるもの。もちろん、その方の辞め方によっては日数の上限や金額の上限がありますが、一身上の都合ですとすぐもらえません。
そもそも失業給付とは
失業給付というものは、退職して仕事を探しているときにもらえるお金のことです。退職したら、全員もらえると勘違いしている人がいますが、ハローワークで求職の申込をして、要件を満たした人のみもらえます。主に、次の要件を指します。
- 退職した以前2年間に12か月雇用保険に加入していること
- 働く気持ちがあり、働ける能力があること
- 一生懸命仕事を探しているけど仕事が見つからない状態であること
そもそも失業給付とは、”突然会社が倒産した”などの理由で、やむを得ず退職となってしまった方への保障。ほとんどの会社員・パートさんは失業給付の元である雇用保険に加入し、保険料をお給料の天引きから納めています。
失業給付はすぐもらえるの?
退職したらすぐもらえるの?
自己都合退職だったら、だいたい退職後3~4か月後になるかもしれないね
よく退職したら失業給付をすぐもらえる、と思っている方がいますが、自己都合退職の場合は、3~4か月かかります。倒産・解雇の場合でも1ヵ月はかかるとみておいたほうがいいでしょう。ちなみに、自己都合の人は2か月の「給付制限期間」という期間が設けられています。そのため、倒産・解雇の方以上に給付まで時間がかかってしまうのです。
「一身上の都合」の意味とは
そもそも「一身上の都合」とはどういうことでしょうか。
一身上
その人自身の身の上や境遇などに関すること。個人的な問題や事情。「―の都合」
「一身上の都合」を使ってはいけないとき
「一身上の都合」は、退職届の理由でよく見ます。困ったら「一身上の都合」というイメージの方も多いでしょう。例えば、別の仕事がしたい、仕事がつまらない、といった理由であれば、適当な理由だと思います。
ですが、会社の都合で辞めざるを得なくなる場合もあります。そういった場合には、書類に書くときの退職理由として「一身上の都合」と書いてはいけません。
リストラ、契約終了のとき
リストラ、契約終了は当然ながら会社都合の退職です。会社から退職を持ち掛けられたリストラ・契約終了のときに、従業員に退職願を書かせる会社もあるようです。このような時は、一身上の都合ではなく会社の都合になりますので、退職理由に「一身上の都合」と書いてはいけません。
「解雇のため」「契約満了のため」でよいと思います。
長時間労働が続いているとき
日々の長時間労働でやむをえず退職する場合は、自己都合の退職になりません。具体的には、離職前の6か月のうち①連続3か月で45時間②いずれか1ヵ月で100時間③いずれか連続する2か月以上の期間の時間外労働を平均して1ヵ月80時間を超える時間外労働があって退職したときです。残業時間を一度確認してみてください。
「長時間労働が続いているため」でよいと思います。
セクハラ、パワハラで退職に追い込まれたとき
セクハラ、パワハラでやむを得ず退職に追い込まれたときは、制限期間(2か月)の対象外になります。解雇、長時間労働と同じく自己都合退職とは違い給付が手厚くなっています。
セクハラ・パワハラの定義は難しいので、下記のホームページも参考にしてみてください
>>参考:厚生労働省|ハラスメントの定義
配偶者が転勤したとき
配偶者が転勤していまの仕事を続けることが困難ということであれば、そのまま書くほうがいいでしょう。配偶者の転勤は、自己都合の退職ではないため、失業給付の制限期間(2か月)の対象外になります。
>>参考:特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要(ハローワークインターネットサービス)
「一身上の都合」を使った本音と建前
書面上では「一身上の都合」ですが、面談時には本当の退職理由を伝えます。退職理由を話すときってドキドキしますよね。しっかり、準備をして上司に伝えましょう。
退職理由は素直に
最後の面談で思ったことは、素直に伝えたほうがよいでしょう。会社の問題なのか、退職者本人に起因するかを把握しておきたいところです。
とはいえ、伝え方には十分注意する必要があります。もし、会社への不満を角が立つように話したり、感情的になりすぎて乱暴な言葉にならないようにしましょう。
スマートに辞める態度で臨み、自分にウソはつかずにありのまま応対すべきでしょう。
転職先も伝える必要ない
次の職場を尋ねられても、答える必要はありませんので安心してください。社会保険の手続き必要、と言われても、事務処理上では前の勤務先に伝える必要はありません。
ですが、まれに新しい勤務先が「在籍確認」という形で、退職した会社に、「本当に在籍しているか」の確認電話をする場合があります。
>>退職で辞めたあとに引っ越した!新住所を会社に教えたくないときの対処法!
「一身上の都合」以外での多い退職理由
実際に多い「家業を継ぐため」
数千人の会社の人事部で勤務していると毎月30~40人ほどの退職者がでています。「一身上の都合」に次いで「家業を継ぐため」が多いです。
厚労省調査からみた最も多い退職理由
最新の厚生労働省調査が発表されました。2020年の主な退職の理由は「より良い条件の仕事を探すため」でした。コロナ渦であったこともあり、好待遇な仕事を探す方が多かったと思われます。
また、コロナ渦の特徴である「人員整理・勧奨退職のため」も例年より増えているのがうかがえます。
やめたいカモのまとめ
あとから同僚から聞いた話ですが、退職した同期の社員について「実はパワハラで辞めたんだ」と聞いたのですが、退職届には「一身上の都合」と書かれていました。そのパワハラがどの程度のものだったのかはわからないのですが、そのほかの人も退職の原因が、会社に起因しているケースも多いのではないかと思います。
もし、この記事を読んでなんとなく「一身上の都合」とはせず、いま一度退職の理由を考えていただくきっかけになってもらえれば、と思います。
それでは今日のまとめです。
- 自己都合でなければ、失業給付を早くもらえることがある。
- 自己都合だったら、失業給付をもらえるのは3~4か月後
- 「とりあえず”一身上の都合”」ではなく、退職の理由を振り返ってみましょう。
ではでは