いま退職を告げたら明日から退職日まで、有給消化をとってもいいカモ?
有給消化はいいけど、なるべく会社に迷惑をかけない計画をしっかり立てよう。
有給消化と言えば、残っている有給休暇を退職日までまとめて取得すること、と言われています。有給休暇の上限は通常40日なので、退職日までの約2か月間を有給休暇とする退職者がいらっしゃいます。
有給休暇はそもそも労働者の権利なので、取得はNGではありません。また、会社は従業員の有給休暇取得について拒むことはできません。ですが、退職予定の従業員から有給休暇を取得したいと申し出があって、さすがに急に言われて仕事が回らなかったりすれば、「有給を取得する日を変更してほしい」と言える権利もあるのです。
急な退職を告げたら有給消化ってしてもいいですか?
結論、「やめておきましょう」です。
この記事では、たくさんの退職願と退職の手続きを行っていた人事部で働く私が、退職前に有給消化に入る前のポイントを、事例をご紹介しながら解説していきます。
お伝えしたいポイントは、次の3つです。
- 有給消化は可能だけど、会社には時季変更権がある
- 基本的に即日退職はできない。
- スマートな退職をしよう
では、早速見ていきましょう
有給消化は可能だけど、会社の権利「時季変更権」がある
冒頭でもお伝えした通り有給は取得できるけど、会社には「その日はやめて、ほかの日にしてくれない?」と言える権利もあるのです。
そもそも有給とは?
有給休暇とは、労働基準法という労働に関する最も有名な法律に規定されているもので、お給料を保証しながら労働の免除を受けることができる日のことです。会社によっても異なりますが、入社した半年後になったら労働者に日数が付与されるものです。勤最近では学生さんを含むアルバイトにも有給が付与されることが認知されるようになりました。
続年数によって、欠勤などがなければ毎年付与されます。有給休暇は一年最大で20日、付与されたあと2年間は有効となるため、ベテランの方となると有給は40日残っている方も多いはず。
有給に理由はいらない
有給を取得する理由には、様々な理由があります。私用、通院、家庭の事情などなど。あたりまえですが、有給は労働者の権利であるので理由は問われることはありません。
時季変更権とは
会社には、「時季変更権」というものがあります。これは、従業員が有給休暇を取得しようとした日に有給を取られてしまったら、「事業の正常な運営に支障を妨げる」となったときには日にちを変えてもらうことを言える権利です。これは、従業員にとっては、「有給を自由に取得できる」とはいえ、従業員全員が休暇を取ってしまったらお仕事の運営が回らなくなってしまいます。そこで、法律が会社に「時季変更権」という権利を与えて会社を守っています。
基本的に即日退職はできない
基本的に、自分の都合で「今日で辞めます」は通用しません。
もちろん、明日から有給消化に入ります、もNGです。
民法では2週間前、ですが就業規則ではたいていの会社は1ヵ月前
民法という法律では、期間の定めがない正社員であれば、退職の意思表示の後、2週間を経過したときに契約が解除される、となっています。この民法は任意の規定とされており、より強い就業規則(会社のルール)で「1か月前に申し出る」というルールになっていれば、1ヵ月前までに言わなければいけません。
告げた瞬間に有給消化は避けよう。
上記の例の1ヵ月前というのは、その人が退職するまでに、後任に仕事を引き渡したり、退職後になっても正常に運営ができるように準備をするために、その期間を設けているものです。そのため、急な退職を告げた後に有給消化となってしまうのは、会社としては「引継ぎをしっかりしてからにしてくれ」と言いたくなるでしょう。
有給消化が難しいなら、有休の買取は?
有給消化がダメだったら、退職日までに残った有給を買い取ってほしいカモ。
就業規則(会社のルール)で、決められていれば可能なんだよ。
数多くの退職者を見ていると、有給休暇の残したまま退職する方が多いです。就業規則(会社のルール)で退職時に限って買い取りが可能であることが記載されていれば可能です。
わが社では、退職者から「買い取りしてくれないの?」と問い合わせがあります。私の会社はその決まりがないので、買取はしていません。
有給の買い取りがOKなとき?
ちなみに、有給休暇は、法律上では労働者に休暇の付与(休ませること)を目的としているため、原則では換金することはできません。もし、換金ができてしまえば多くの方が休暇を取らなくなってしまいます。ただし、例外的に、会社が独自で付与している有給休暇、退職時の有給、時効で消滅した分は可能です。会社がルールとして決めていることが前提となりますので、まずは就業規則を確認してみましょう。
スマートな退職をしよう
うえ~ん、退職を告げたら、会社なんてもう行きたくないカモ~
退職を告げたら、引継ぎなど大事な仕事をしなきゃね。
有給消化よりもやるべきこと
退職を告げたあとはどうしても後ろめたい気持ちになりますよね。わかります。いままで一緒にやっていた同僚からも冷たい目をされそうで怖い、ですよね。
退職を告げたあと実はやらなきゃいけないことがあります。最も大事なことは業務の引継ぎです。後任となる方へのマニュアルの作成、ルーティン業務であれば最低限1回は後任の方と一緒にやるべきでしょう。可能な限り中途半端な引継ぎとならないようにしましょう。
>>辞める3か月の大事な時間|退職のポイントを3つざっくり紹介!
退職を告げたら”いずらい”
退職を告げたあとはしっかり後任の方への丁寧な引継ぎを最優先にしっかりこなしていきましょう。そこでは、決して後ろめたさを表情などに出さず、堂々と丁寧に向き合っていくことが大事です。
それがあれば、スマートな退職ができて、いい印象で会社とお別れすることができます。
やめたいカモのまとめ
退職を告げたあとの計画をしっかりしようカモ~。
うん、退職を告げたあとのスケジューリングもしっかり考えようね。
退職を告げたら有給休暇を長期で充てる方もいますが、退職を告げたあとは業務の引継ぎという大事な仕事が待っています。引継ぎなどの退職に向けての後処理を想定したスケジュールを立てる必要があります。すでに決めた退職日まで、どのように過ごすかを会社の上司とよく相談して決めていきましょう。その際には、決して後任との引継ぎのスケジュールをしっかりセッティングして丁寧に向き合っていきましょう。これができると、スマートな退職につながり、いい印象で会社を去ることができます。
有給消化をするのなら、まずは後処理の工程を先に計画してからです。
それでは今日のまとめです!
- 有給消化は可能だけど、会社には時季変更権がある
- 基本的に即日退職はできない。
- スマートな退職をしよう
ではでは!